温泉の種類と期待される効果

温泉の中でも、病気治療に用いられるものを療養泉といいます。
含まれる主成分によって大きく9種類に分類されています。
単純温泉
温泉温度が摂氏25度以上で、含まれている成分の濃度が低い温泉。
ほとんどが無色透明・無臭ですが、薬理作用はさまざまです。刺激も少ないため、肌にやさしく「名湯」と呼ばれる温泉に多いのも特徴です。
効能:疲労回復、神経痛、不眠症、動脈硬化、高血圧など

炭酸水素塩温泉(重炭酸土類泉、重曹泉)
アルカリ性の泉質で、重炭酸土類泉と重曹泉の2種類があります。
重炭酸土類泉
カルシウム(マグネシウム)を含み、消炎作用や鎮静作用があります。
皮膚病やアレルギー性疾患などに効果があり、飲用すれば利尿作用もあるため、痛風や膀胱炎などにも有効です。

重曹泉
ナトリュウムを含み、ヌメヌメするような感触がある温泉です。
入浴後は肌が滑らかになるため、「美人の湯」とも呼ばれています。
美肌効果があるほか、飲用すれば胃炎にも効果があります。
効能:筋肉・関節痛、打撲、切り傷、慢性皮膚病など

含鉄泉(鉄泉)
鉄を含んだ温泉で、炭酸鉄泉と緑ばん泉の2種類があります。
湧き出したは無色透明ですが、空気に触れると茶褐色に変色します。
貧血、リュウマチ、更年期障害などに効果があります。
効能:貧血、更年期障害、慢性湿疹、リュウマチなど

硫黄泉(硫黄泉、硫化水素泉)
硫化水素ガス特有のにおいが特徴の温泉。
血管を拡張させるため、動脈硬化にも効果があるほか、効能も幅広く万病に効くとうたわれています。
黄白色の沈殿物は「湯の花」と呼ばれています。
効能:高血圧、動脈硬化、慢性皮膚病、関節痛など

放射能泉
微量の放射能を含み、ラジウム泉、ラドン泉とも呼ばれています。
湯気から成分を吸収することで、鎮静作用や循環器障害の改善も期待できます
。放射能といっても微量で入浴後はすぐに排出されるので心配はありません。
効能:高血圧、動脈硬化、神経痛、リュウマチなど

塩化物泉(食塩泉)
海水の成分に似た食塩を含んだ温泉。
入浴後、肌に食塩がついて汗の蒸発が妨げられるため、保温効果が強く「熱の湯」とも呼ばれています
。関節痛や冷え性などに効果があります。
効能:筋肉・関節痛、打撲、ねんざ、冷え性、リュウマチなど

酸性泉(明ばん泉)
無色もしくは微黄褐色で酸味がある温泉。
殺菌力が強いため、肌には強い刺激になりますが、水虫や湿疹、疥癬(かいせん)、金属アレルギーなどに効果があります。
入浴後、真水で洗い流して湯ただれを防ぎます。
効能:慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病など

単純二酸化炭素泉(単純炭素泉)
お湯に炭酸ガスが溶け込んだ温泉。細かい泡が肌につく感覚から、「泡の湯」と呼ばれることもあります。
血管が拡張されるので、血圧を下げる効果があり、飲用すれば胃腸の活動を活性化する効果があります。
効能:筋肉・関節痛、打撲、高血圧、動脈硬化、消化器病、便秘など

硫酸塩泉
無色または黄味があって、硫酸イオンが含まれているため、飲むと苦味がある温泉です。
ナトリウムを含む「ぼうしょう泉」、カルシウムを含む「石膏泉」、マグネシウムを含む「正苦味(せいくみ)泉」に分けられます。
効能:
<ぼうしょう泉>飲用すれば肝臓病、胃腸病、便秘などに効果があり、「中風の湯」とも呼ばれています。

<石膏泉>高血圧、動脈硬化、神経痛、鎮静効果など

<正苦味泉>高血圧、動脈硬化など、「脳卒中の湯」とも呼ばれています。